吉田智美さん(福岡県)
地域おこし協力隊として郷土事情を深く学び
今は観光協会に在籍してまちの魅力を発信する側に。
いろんな方や自然とふれあう中で、当たり前すぎて見過ごしていたたくさんの豊かさに気づいたのだと教えてくれました。

知らないまちに暮らす憧れを持って

生まれ育ったまちを出て心新たに今までとは違う環境で人の役に立つことをしてみたかったと「地域おこし協力隊」への応募を決意された吉田さん。
九州内で山の方がいいなと漠然と行き先をインターネットで探していたところ、目についたのが「宇佐市」でした。
実家から2時間ごどと好アクセスだった点も決め手だったようです。

ルーツとの不思議なつながり
好奇心から始まった協力隊の3年間は、地域づくりに関するサポートが主。
地区の方と打ち解けてくると郷土料理を振る舞ってもらったり口伝えに教えて貰わなければ知り得ないようなコアな部分を教わったり、じわじわと知識や愛着も増していきました。
後に知ったそうですが、全国4万余社の八幡社の総本宮として知られる「宇佐神宮」のニノ殿には、故郷にある「宗像大社」の三女神が祀られており、現在住まう安心院地区にも同じ神様を祀る神社が。
調べては自身との繋がりを感じ、この地に脈々と受け継がれる信仰の歴史にも面白さを感じると話します。

「ならでは」の魅力を発信
任期を終えてからは培った経験と独自のアイデアとを結びつけて観光事業の振興に一役買っています。
例えば、見上げた星空の美しさをみんなで体感しようと院内町の平成の森や岳切渓谷で「月空ヨガ」を主催。
安心院・院内エリアを電動バイクで周るツアーでは、知る人ぞ知るエピソードを交えてのガイドが好評でした。
「移住してきたからこそでしょうか。至って普通の日常にまちの魅力が散りばめられているように感じます。」朝のウォーキングが日課だそうで、ワイナリーの坂を登った先の展望台からは朝霧にすっぽり覆われた安心院盆地が一望できるのだとか。
そういった風土が織りなす魅力を形にして発信できるのが吉田さんの強み。彼女が勤める観光協会は宇佐神宮のすぐ近くにあります。
参道に軒を連ねるお店が伝統を生かしつつ新しさを打ち出していて要チェックですよ、と案内してくれました。

オンとオフ、どちらも愛おしむ
日々様々な方が訪れる窓口で柔軟に且つパワフルに働くオンの日、愛猫と戯れあったり読書に没頭したりとほとんどを自宅で過ごすオフの日とメリハリがつきやすいのは、宇佐が自然豊かなエリアと商業エリアとが混在するまちだからでしょう。
「空き家バンクで見つけた住まいは手を入れなくても十分綺麗な物件でした。周囲にはコンビニも市役所も病院も揃うので不便はありません。」はじめは隣に住む大家さんから頻繁に声をかけられるのに戸惑いもあったそう。
野菜などを差し入れてくれたり家の中の困りごとに快く応じてくれたりとコミュニケーションを重ねるうちに、この辺りの人々は互いに助け合い支え合っている関係なのだと気づきます。
今ではアットホームな関係性に心地良さを感じていると約6年の月日を振り返りました。
顔見知りも随分増えた今、改めて自分にできることはなんだろうと模索しているそうで、先日取得した国内旅行取扱管理者資格に留まらずいろんなことにチャレンジしている模様。
高齢化していく地域の方に喜ばれることを考え実行していきたいと今後の展望も熱いものがあるようです。