仕事も趣味もまだまだこれから 多忙なセカンドライフを楽しむ夫婦
小林薫さん・代里子さん(茨城県)
「第2の人生をどう生きる?」
そう考えたとき薫さんの頭に浮かんだのは現役のときから夢だった田舎暮らしでした。
埼玉ではなかった地域の集まりに驚かされながらも今ではその一員としてすっかり馴染んでいる様子。仕事に趣味に理想のライフスタイルを楽しんでいます。
「定年が近づくにつれ、漠然と思い描いていた田舎での生活が現実味を帯びてきたんです」と話す薫さん。
妻の代里子さんにも地方で暮らす希望があったことから、40年勤めたデザイン会社を定年で退職したのち、本腰を入れて移住を検討しはじめます。
知人が住んでいる中津市と隣の宇佐市で空き家を探し、「一目で気に入った」というのが今の家でした。
DIYや釣りなど多趣味な薫さんにとって、部屋数の多さが魅力だったそうです。
また、定年後もフリーランスとして紙面デザインの仕事を請け負っているため、インターネット環境が整っていることも大きなポイントでした。
今も東京のクライアントから仕事を受けていて、やり取りはすべてメール。
薫さんは「コロナで地方への移住を希望するひとが増えていますが、その点、デザイン業は融通が利きやすいですね」と言います。
宇佐市の補助金制度については、「移住先を検討するにあたって結構気にしていました。宇佐市は空き家購入に対する補助があるのが魅力でした」と話します。
他にも制度を活用して、引越しや改修の費用も軽減できたそうです。
都会にはない地域のつながり
移住して驚かされたのは、地域の行事や集まりの多さ。
新生活が始まってひと月経った頃、その1年に亡くなった方々の新盆が合同でいとなまれ、面識がないにもかかわらず焼香をあげました。
ほかにも草刈りや祭りの準備などへの参加を呼びかけられ、小林夫妻はどれにも参加。
「埼玉のときは地域の集まりがひとつもなかったので、はじめは面くらいました」としつつ、「そういった集まりでみんなに顔と名前を覚えてもらえました。
それまで触ったこともなかった草刈り機の扱いを手取り足取り教えてもらい、今では一人で使いこなしています」と言います。
また、代里子さんは「困ったことがあると助けてくれる」と言い、雨漏りが見つかり予期せず追加の改修が必要になったときも、地域の方がすぐに業者を紹介してくれたそうです。
忙しすぎるほど充実した時間
薫さんはデザインの仕事のほかに、シルバー人材センターのスタッフとして剪定作業をすることも。
趣味のDIYで家の中にホームシアターを作るなどし、「退職後の今の方が忙しいかもしれない」と笑います。
一方の代里子さんは趣味のパッチワークを続けていて、自宅でのワークショップ開催を目指しているそう。
夫婦共同で野菜づくりにも取り組んでいて、家から1キロほど離れた場所にある農地で季節ごとの野菜を育てています。
薫さんは「宇佐には農地があまるほどある。移住前はプランターで満足していましたが、大違いです」と言います。
次なる目標は畑に隣接した作業小屋にウッドデッキをつけること。作業小屋も薫さんの手で建てられたもので、代里子さんは「夫はやりたいことをとことんやる性分。こっちに来て若返ったみたい」と微笑みます。
第2の人生を宇佐で過ごすことを決めた小林さん夫妻。充実した日々はこれからも続きそうです。