見逃してしまいそうな日常の瞬間に心を澄ます
岩田聡さん・奏絵 さん(別府市)
人生の中で誰にでも必ず訪れる転機。
聡さん、奏絵さんご夫婦の元に訪れた転機は「新しい家族の誕生」でした。
息子のソウタくんが3歳の頃に越してもうすぐ5年。その間に娘のコルリちゃんが生まれますます賑やかになりました。
ここでは大人も子どもものびのびと生きている。
岩田家のみなさんの笑顔が咲いた瞬間を拝見しました。
心に残るあの風景へ
国道387号線を中心に左右に広がる田畑と山が連なる峡谷の集落。
野鳥観察や釣りなど自然の中で休日を過ごす聡さんは、別府から山手へ向かう道中の院内エリアを心地よく感じていました。
別府で生まれ育ち、店を構え10数年。
新しい家族の誕生を機にの びのびとした子育てをしたいと考えるようになったそう。
そこで思い浮かんだのが何度も通ったこの界隈でした。
それから移住の準備を進め、空き家バンクに登録されていた物件から候補を絞って奏絵さんに提案します。
戸建てに住んだことのない奏絵さんは未知なる生活に不安を抱えていましたが、ひと目で今までの不安は何処へやら。
「ここだったらお店もできてプライベートも守られるし、楽しい暮らしが想像できたのが大きかったです。」と笑顔で話します。
ライフスタイルの変化
春に越して夏に住居兼お店をオープンさせました。営業は曜日限定。数年前からは感染症予防対策のため、完全予約制に切り替えました。朝から晩まで働いていた以前に比べ、1日の流れはガラリと変わりました。
「ありがたいことに開業当初は行列になる日もありまして。商品が売り切れて、わざわざ来ていただいたお客様に残念な思いをさせてしまう日もありました。」
今はお客様が求めるものを来店時に合わせて用意するのでお断りすることもロスが出ることもありませんし、お話しできる余裕も出てきたそうです。
また、準備していた電子決済やネット通販も功を成し、目指すお店のあり方に近づいたと話します。
そうして望んでいた家族との時間は十分取れるようになりました。
夕方は散歩や庭遊びを、休日は仏像好きなソウタくんと国東半島へ出掛けたり習い事に付き添ったり。どのくらい充実できているのかは、はつらつと遊び回る子ども達を見れば一目瞭然です。
「日々自然が遊び相手で、寒くてもへっちゃらのよう(笑)。おかげで滅多に風邪を引かなくなりましたが、お店で手が離せなかった日に小児科の病児保育を利用できたのはとても心強かったです。」
宇佐市は子育て世代への支援が手厚く、保護者の子育てと就労の両立を応援しています。
ゆっくりと自分たちのペースで
住まいに関わる支援制度も利用されました。
空き家改修補助で五右衛門風呂をユニットバスへ、起業支援で頂いた分は業務用スペースの改修に充てました。
すっかりこの地に馴染んだ様子が伺えますが、それは地域の方のおかげでもありました。
「越してきた当初は仕事に子育てにてんやわんやで土地勘もまだなく。そんな時に区長さんが徐々に馴染めるように、行事などは無理のない程度に参加してと言ってくださいました。その一言にとても救われました。地域の子ども達を宝のように見守ってくれているのも、とっても嬉しい。」
開店や引越しにと物入りな時に良い状態の家具を譲ってくれた大家さん、野菜などをお裾分けしてくれる近隣の方々など気にかけてもらう度に交流が増えていきました。
「先日、居間の照明をLEDに変えたんです。」とはにかむ奏絵さん。
これからも少しずつ手を加えながら、快適な住まいにする事で、さらに日々に味わいと愛着が増しそうです。