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ふるさとの味に想いを馳せて

海老原正蔵さん・ノクメさん(東京都)

結婚を機に日本で暮らし始めたノクメさんは母国と異なる文化を楽しみながらも段々と故郷の味を恋しく思うように。専門店に行けば調達できるけどもっと気軽に手に入れたい…。
「自ら栽培しよう!」と思い立つも近隣の貸し農園は条件が合いませんでした。
正蔵さんは家族の心地よい暮らしがかなう土地を探し始めます。
時間をかけてたどり着いた地で時間をかけて作り上げた住まいは愛着もひとしおのようです。

ふるさとの味に想いを馳せて
畑を持つことは彼女のたっての希望

来日して14年。

長年の願いを叶えたノクメさん自慢の畑には、東南アジアでポピュラーな葉野菜「チンバウン」を中心に、生で食べられる小ぶりなナス、ヘチマ、カボチャ、ハーブ類などがそこかしこに植えられていました。


一つひとつを愛おしむように教えてくれた彼女ですが、越してくる前は畑ができないジレンマで精神的に追い詰められていたと、それだけ想いがこもっていることを明かしてくれました。


食事はそれまでの人生そのもの。私たち日本人が日本食を好むように、誰でも子どもの頃から食べ慣れた食文化に愛着を感じてしまうものです。

そのことに理解を示した正蔵さんは好きな作物を育てられて且つノクメさんの故郷に気候が近いところを探し、問い合わせの段階から良い印象を受けた宇佐市を訪れてみました。


「移住の相談窓口『ふるさと回帰支援センター』の方が、地区ごとの特徴を教えてくれたり条件に合う空き家を提案してくれた。

そのお陰で第一に希望していた畑があることはもちろん、築百年を超す母屋に洋間の平屋が建て増しされた、家族四人が広々と過ごせるこの家と出逢えました」。


市の支援制度を活用して購入に至りましたが、家の南側の雑木や竹がすごくて森のようだなと感じたそうです。

洗濯物が乾かないほどの日陰でしたが、チェーンで伐採すると、日差しが家の中にまで入るようになったそうです。今では見違えるほど明るく、あたたかです。

やってみようと思える場所

実は来日するまで畑仕事の経験はなかったノクメさん。離れて意識した故郷の味を独学で試行錯誤しながら区長さんや近所の農家さんに助けてもらい育てています。

区長さんの口利きで新たにもう一つ畑を借りたんだと、大好物のチンバウンがわさわさ茂っている様子も見せてくれました。


たくさん植えているので日中の勤め先である工場で知り合った同郷付近の方になどお裾分けしてはコニュニティづくりのきっかけにも一役買っています。


そして、ノクメさんの自動車免許取得もまさかの展開でした。

「運転はしてみたかったけれど東京に住んでた頃は怖かったし、交通手段には困らなかった。こちらは車がないと不便でしょ?」この辺りはどこに行くにしても車移動が主です。生活の足となる車を手にして、今では一緒に乗っていても安心感がありますと正蔵さんも子どもたちもうなずきます。

田舎暮らしは、助け合いっこ

「近所の方含め、すごく親切な方ばかり。たまたまですが自分たちのように他県から移り住んでこられた方もいて親近感が湧きました。台風の日には窓が空いてるよとか、電線に枝がかかってるよとか声をかけてもらって嬉しかった」。


上下左右が密集した団地暮らしに比べると、ここでは周囲との距離感が丁度よくて子どもたちも思い思いに過ごせている様子です。地方暮らしの特徴は「助け合いの精神」。

そこに暮らす人々がお互いに助け合い、暮らしを支え合っています。


「息子の言葉が出るのが遅く、心配していたところ、役所が支援施設を紹介してくれ、お世話になっています。おかげで最近言葉が出てきて会話が楽しいんです」と正蔵さん。

子育てに限らず困りごとや不安を抱えている時は、遠慮なく市の相談窓口にご相談ください。


宇佐での暮らしにおいて特に不自由はないようですが、ただ…蛇には慣れませんとノクメさんは肩をすくめます。自然の多い環境にはつきもの。周囲の方に尋ねては対策を練っているそうです。

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