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夫婦で歩んだ農家への道
飛び込んでみて今、思うこと

出口一隆さん・晴香さん(愛知県)

工場に勤めていた二人にとって農業は未知の世界でした
従事して6年、新しい家族も増えて働き方も農法もその都度、最適な方法を自分たちで選択してきました

夫婦で歩んだ農家への道
飛び込んでみて今、思うこと
気持ちに従って飛び込んだ異業種

父の他界でUターンを決意し、夫婦でキャリアチェンジを遂げた一隆さんと晴香さん。

「実家のためとはいえ、勤め先を辞めるのは勇気が必要でした。それでも区切りというか、第二の人生というか、今までとは違う新しいスタートを切りたい心境になったので決断しました」。

正直、絶対農業がしたいというわけではなかったそうですが、手を出しやすいかなとなんとなくの気持ちで大分県の就農セミナーに参加してみた一隆さん。

そこで新規就農者に向けたトレーニングファーム制度を知ります。


「トレーニングファーム制度」とは、基礎研修、実地研修、出荷調整、経営管理、就農準備、地元の部会員さんとの仲間作りなど研修費用無料で2年間しっかり最先端技術と経営ノウハウを学ぶカリキュラム。

当時から宇佐市が推奨していた作物は小ネギとぶどうでした。

「小ネギは一棟あたり年に3から4回転します。経験を積む面でもチャレンジがたくさんでき、収入も安定しやすい点から小ネギ栽培に決めました」。


楽しいが勝った研修期間

夫婦が選んだ小ネギは「大分味一ねぎ」と言う県を代表するブランド野菜。

肥沃な土の栄養をしっかりと吸収し、シャキシャキとした食感と歯応え、そして瑞々しさが特徴です。


「研修前に体験が3日間あり、4日目が面接だったかな。先輩農家さんも優しくて近い年齢の方もいて、その時の気持ちは不安半分、楽しみ半分でした」。

研修が始まると、想像以上に楽しかったそうです。

「工場努めの頃は会社のルールや人間関係で思い悩むことがありましたが、しがらみなく自分の意思でできる上、目標も自分次第。辛さは特に思い当たりませんでした」。


プランになかった現実

夫婦共にこれなら大丈夫と就農しますが、そもそも農業に不安はなかったのかを伺うと、一隆さんは抵抗はなかったそうですが晴香さんは違いました。

「今までと全く違う業種ですし、聞いた時は不安でした。でも決めたからにはやるしかないかと」。

隣で支える覚悟を決めたそうです。


しかし農地探しに難航した時は弱音も出たとか。

「私の中では研修が終わったら環境が確保されているイメージでいたので、まさか自分たちで探さなきゃいけないとは思ってもいませんでした」。

早くから探してはいましたが、1年かけて現在の場所と出会いました。

「自分から近くて、ハウスが離れちゃうと水を取るボーリングを都度取らないといけないので費用もかかるんです。県や市、営農組合の方が協力してくれて今に至ります」。


ハウスの数は現在27棟。順に収穫できるよう調整して栽培しています。土作りは一隆さんが担い、収穫は晴香さんも入って、今年からお母さんも手伝っています。

「収穫は朝5時から4時間ほど。日曜以外は働いていますが、頑張れば次の日休むこともできるので働き方は融通がききますね」。

ネギが伸びる日数が夏場は60日としたら冬場は120日なので、冬場はゆったりと過ごせるそうです。

仕事と子育ての両立

自分たちの農園を持って2年目に長男の結翔くんが生まれました。

「産休に入るギリギリまでハウスに入っていたんです。予定日は1ヶ月後だったんですが休みに入った途端陣痛がきて」。

ハウスで作業していた一隆さんは連絡を受けて晴香さんの元へ飛んで行ったそう。


結翔くんは一歳になってから一隆さんが通っていた保育園へ入園しました。

「預け出してからは妻も一緒に収穫にハウスに入っています。朝、保育園に行くまでは同居中の母に見てもらっていてとても助かっています」。

とはいえ、結翔くんにとって朝起きたらお母さんがいない現状に負い目を感じているという一隆さんは、母子の時間を増やすために今後は実習生の受け入れを検討しているところです。



持続可能な農業に挑戦

「昨年から、有機肥料を使う農法に変えました。理由は長く続けていきたいから。化学肥料はどうしても肥料が溜まって発芽不良が起こる。土のチカラが弱くなっていくんですよ。有機肥料で試験運用してみていけるかなと思い、踏み切りました」。


日々の手間暇を考えると農家は大変。儲からないと声が挙がるのは当然かもしれません。

でもそれはやり方次第。

「生産以外の事業を行う農家さんは多いです。雇用が可能になると新しいチャレンジもできるはず」。

大変だからこそ農業はそこkにビジネスチャンスが溢れていると言っても過言ではありません。


出口さん夫婦のように、最初は気軽に話を聞いてみることをおすすめします。

場所を変えたら。どんな人生、キャリアを描けるんだろうというヒントになるかも知れません。


(取材/2023年冬)

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